ミラクル。

この実の写真を見て、名前が分かる人は、本当に奇跡的な知識の持ち主だと思う。
私は大学時代、何を妄想したのか、湘南(正確にいうと、鎌倉の材木座海岸)でウィンドサーフィンをしていた。艇庫を借りて週末ごとに通っていたのです。友人の車で海沿いの134号線をドライブしていると、葉山あたりで必ず目につく看板があったのを今でも覚えている。 ミラクルフルーツ。そう、この写真の果物です。ウィキペディアによると、西アフリカ原産のアカテツ科の果物。果実自体は甘くないが、特殊な糖タンパク質であるミラクリンを含んでいて食べると、ミラクリン分子が舌の味蕾に結合し、次に食べた苦味や酸味のある食べ物(レモンやライムなど)および薬剤を甘く感じさせる。次に食べた物を甘く感じさせる特徴を持つ。

その当時、世の中には不思議な果物があるものだと、感心しました。確かに食べると次にレモンを食べても甘く感じるのです。

時代はほんの少し流れ、筑波大学での研究。
日本での栽培が難しく、効率も悪いミラクルフルーツではなく、このミラクリンを生成する遺伝子を日本でも栽培が容易なトマトに組み込み、作り出すことに成功しているという。そしてそのトマトからミラクリンを取り出すという…。
このミラクリンは、飲料や食事に添加することで,無理なく糖分の摂取を抑えることができ,糖尿病などでカロリー制限されている方のための治療やメタボリックシンドロームの予防にも貢献できると…。
凄い研究だとは思いますが、怖い研究だとも思います。

地球上に生を受けて自然の共生の中で生かされているという奇跡を いたずらに弄んではいけないと思います。
除草剤をかけても枯れないし、虫が食べると死んでしまう野菜、2倍の速度で成長するサケ、 羽の生えない鳥、ものすごい速さで成長する樹木、そんな人間都合で妄想された世界が、簡単に実現できるようになった現代だからこそ、そんな技術、捨ててしまえばいいのに…と思う。
目に見える効率化の裏には、目に見えないリスクが必ず潜んでいる。巨神兵で腐海を焼き払おうとしても、王蟲の怒りが大海嘯となって 押し寄せ、腐海に呑み込んでいくシーンが思い出される。