農園について

つくること。

つくること。食べ物が作られた背景を想像する。

作ることは、その地とともに生きること。
農業者は、農作物を育てるのと同時に、
その地に住む小さな生き物から、土、水、そして空気と
すべてのものに関わっています。
地域の田畑は1年を通し、その存在を超えた自然の循環を生み出しています。
人間によって作られた、人間のための食べ物を作る場所は、
自然界においても重要な生き物の「住処」となっています。
美味しい食べ物はそこから生まれる。
私は、農産物を作ることと同時に、すべての生き物と共存しています。
人は、自然の中で生かされています。

つくること。食べ物が作られた背景を想像する。

たべること。

たべること。農作物とすべての生き物は共存している。

食べることは、その地とともに生きること。
その地の循環によって出来上がる農産物を収穫し、販売することが農業者の出来ること。
その先の、「料理する」「食べる」という人間の行為で、
この農産物を取り巻くサイクルは回っていきます。
では、今、私たちに出来ることはなんでしょう。
現代の社会構造に対応して、簡素化された食が増えています。
自分の口に入るものすべてに、どんな背景があるのか。
そのことを、少しでも意識することが出来たなら、
きっとこの自然のサイクルはもっと美しく回り続けることが出来ると思っています。
人が食べるすべてのものが私たちの命を作っています。
私は、そのサイクルに参加する一つの歯車として、
より丁寧にこの農業という役割に関わっていきたいと思っています。

たべること。農作物とすべての生き物は共存している。

つなぐこと。

つなぐこと。その地とともに生きること。

つなぐことは、その地とともに生きること。
作る、食べる、働く。生きるために当たり前に繰り返されるこのサイクルにも、
様々な要因で変化の時が訪れています。
その都度、時代に沿った良い判断が繰り返されるよう、
農業者として「作ること」にしっかり意識をおきながら、
そこから繋がる全てのことに関係していきたいと思います。
人の繋がりがなければ、途絶えてしまいがちなものも大切にしています。
祭りの神楽、神社のしめ縄づくりなど、
農業との関わりが深い地域の「神事」にも積極的に参加し、
農業を通じて、人と人が繋がり、この地域において、
環境のみならず伝統や文化が継承されていくことに、
これからも取り組みたいと思っています。

つなぐこと。その地とともに生きること。

ごあいさつ

皆さんは、トンボの羽化を見たことがありますか?私の住んでいる地域では、6月下旬の早朝、田んぼに入ると、朝もやのかかった田んぼから羽化したばかりのトンボが一斉に飛び立つ姿が見られます。実に幻想的です。農作業をしていると、この他にも幻想的なシーンに出くわすことが多くあります。この素敵なシーンも地球環境が安定しているからこそ見られるものです。
「今、地球環境がおかしい!」と感じているのは、私だけでしょうか?
今後、異常気象による災害がおこるほどに、ますます環境問題に関心が集まっていきます。農業という産業の枠を超え、他産業と連携して環境に取り組むことで利益が生まれるような仕組みをもっと作っていかなければならないと思います。
21世紀に入ると、「スローフード」という言葉が盛んにメディアに登場するようになりました。1986年にイタリアの小さな田舎町からおこった運動で、何でも便利に高速化するファストフードに対しておこった運動だと理解しています。今、そんな小さな動きが、世界中に波及してきています。日本でも、郷土食や特色ある野菜などの食材や日本酒・焼酎をあらためて見直そうという動きがおこっています。私たち農家は、作物を育てるだけでなく、「食」を取り巻く「食文化」や「環境」に対する造詣も深める必要があるのではないでしょうか。
日本の小さな田舎町からでも世界を動かすようなムーブメントをおこせるかも・・・
農家として土を耕し、食べる人の心も耕していきたい。何が出来るか、まあ、気長に楽しく顔晴ります!

髙塚 俊郎・利恵