誰に向かって何を語るのか。

昨日の日経新聞の見開き意見広告。
日本の農を支え、日本の食の安全・安心に貢献し続ける存在でありたい…。一瞬、社会の試験問題か?と疑いたくなるような紙面構成で、農家の私が読んでも頭に入ってきません。体調が悪いのか…と一晩寝て、今日読んでみましたが、何をアピールしたいのか??
結構なお値段がすると思われる、この広告、日経新聞の読者にはどう映ったのでしょうか。

日本の食は外国からの輸入に頼らなければ、今の物質的な「豊かさ」は享受できない状態です。 農家も社会の成熟に歩調を合わせるかのように減少し続け(社会が成熟する過程では当たり前の現象です)、穀物中心の食生活から肉食・油脂・乳製品を大量に摂る食生活に多様化しました。それに伴い家畜の飼料が大量に必要になり、トウモロコシなどは、米の生産量の2倍近くを海外から輸入しています。もちろんそれに伴い、大量の家畜糞尿も狭い日本の田畑に撒かれ続けています。そんな状況でも、海外から輸入した肥料を撒かないと田畑の地力が無くなる!という謳い文句で海外の鉱物が撒かれ続けています。

結果として、日本人は健康になったのでしょうか?確かに平均寿命は延びていますが、食生活からくる生活習慣病等の現状、医療の高度化と高齢化に伴う、医療費の高騰…。本当に良くなっているのでしょうか。現状を「良し」とするのかどうかは、人それぞれの価値観によるものが大きいとは思います。
ただ私は、自然に寄り添い海外から購入した資材等は使わず、お金を大量に循環させるのではなく、いろんな資源が循環していくスタイルの方が素敵だと感じています。
徐々に、徐々に、ゆっくりと、そんな生活に収斂されていけば、笑顔も増えるのに…。

間伐材を薪ストーブで燃やし、ゆらゆらと燃える炎を見ながら考えています。